セラミックスとは

 

セラミックスとはどんなものをいうのでしょうか。昔は焼きもの、陶磁器のことをセラミックスと呼んでいました。しかし現在ではもっと広く考えるようになり、非金属系の無機物質のことをセラミックスと言っています。簡単にいえば、有機物でないものを無機物といいますが、その無機物から金属を除いたもの、それらすべてがセラミックスなのです。そのため、歯や骨の主成分のアパタイトや、環境エネルギー問題を解決する光触媒や、建築に使われるセメントやガラス、情報通信分野に使われる誘電体や磁性体、金属よりも高温まで溶けないためにスペースシャトルの外壁に使われている耐火物など、ありとあらゆるものが該当します。セラミックス協会という学会は、このような様々な分野の研究者が集まっています。

 

セラミックスのおもしろさ

 

 1986年、セラミックスから高温超伝導体が発見されて以来、セラミックスは世を変える夢の素材であるとして、セラミックスフィーバーの熱狂が社会現象として発生しました。その後2000年代はセラミックスに関わる話題が下火となりました。しかしながら、ここ数年、再び大きな注目が注がれています。例えば、現在ディスプレイで使用されているアモルファスシリコンよりも電子の移動度が1020倍程度高いことから、次期のiPadiPhoneに採用が予定されているIGZO(インジウムIn−ガリウムGa−亜鉛Zn−酸素O)は透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)の1つであり、セラミックスの一種です。また電気が流れないとされてきたアルミナセメントを半導体にしてしまったり、超伝導体にはならないと考えられていた鉄系の酸化物を高温超伝導体にしてしまったりと、ノーベル賞候補となる大きな発見がなされています。電子材料以外にもセラミックスは歯や骨の主成分であるアパタイトという生体材料や、抗菌作用そして水から水素を生成する光触媒など、世の中の多方面で活躍をしています。

資源の少ない日本では、セメントのように地殻にある、ごくごくありふれた元素から高機能な物質や素材を作り出すことが必須となります。セラミックスで何故このような発見が可能かと言えば、研究者の情熱と才能であることは言うまでもありませんが、セラミックスというものが周期表のすべての元素を対象にしていることが理由の1つと言えるでしょう。危険な元素は利用できませんが、それ以外の元素の様々な組み合わせにより、多種多様な物性を持つ物質を合成できるので無限の可能性を秘めています。研究者人口も他分野と比較すると、さほど多くはなく、そのため研究されていないことが多く、研究題材は豊富です。

 セラミックスの研究を一緒にやってみませんか。